公開日:2024/02/13 最終更新日:2024/02/14

JVNVU#95085830
三菱電機製MELSEC iQ-Rシリーズ安全CPUおよびSIL2プロセスCPUユニットにおける不適切な権限設定の脆弱性

概要

三菱電機株式会社が提供するMELSEC iQ-Rシリーズ安全CPUおよびSIL2プロセスCPUユニットには、不適切な権限設定の脆弱性が存在します。

影響を受けるシステム

  • MELSEC iQ-Rシリーズ安全CPU R08/16/32/120SFCPU 全バージョン
  • MELSEC iQ-RシリーズSIL2プロセスCPU R08/16/32/120PSFCPU 全バージョン

詳細情報

三菱電機株式会社が提供するMELSEC iQ-Rシリーズ安全CPUおよびSIL2プロセスCPUユニットには、不適切な権限設定の脆弱性(CWE-266CVE-2023-6815)が存在します。

想定される影響

遠隔の第三者が当該CPUユニットに管理者以外のユーザとしてログインした後に、細工したパケットを送信することによって、攻撃者より低い権限を持つユーザの認証情報(ユーザIDおよびパスワード)を取得される可能性があります。

対策方法

「脆弱性対策強化バージョンのGX Works3とのみ交信を行う」設定を有効にする
CPUユニットへのユーザ情報書き込み時に「脆弱性対策強化バージョンのGX Works3とのみ交信を行う」設定を有効にすることで、本脆弱性の影響を軽減することが可能です。なおこの設定は、次の組み合わせで使用している場合のみ設定可能とのことです。

  • MELSEC iQ-Rシリーズ安全CPUのファームウェアバージョン"27"およびそれ以降とGX Works3バージョン1.087Rおよびそれ以降で組み合わせて使用している場合
開発者によると、上記以外のユニットについては、近日中に対応予定とのことです。

ワークアラウンドを実施する
次の回避策・軽減策を適用することで、本脆弱性の影響を軽減することが可能です。
  • 当該製品をインターネットに接続する場合には、ファイアウォールや仮想プライベートネットワーク(VPN)等を使用し、不正アクセスを防ぐ
  • 当該製品をLAN 内で使用し、信頼できないネットワークやホストからのアクセスをファイアウォールでブロックする
  • IP フィルタ機能(※1) を使用し、信頼できないホストからのアクセスをブロックする
  • 当該製品ならびに当該製品へ接続可能なコンピュータおよびネットワーク機器への物理的なアクセスを制限する
(※1) IP フィルタ機能の詳細は次のマニュアルを参照
  • MELSEC iQ-R Ethernet ユーザーズマニュアル(応用編)の1.13 セキュリティの「IP フィルタ」
詳しくは、開発者が提供する情報を確認してください。

参考情報

  1. ICS Advisory | ICSA-24-044-01
    Mitsubishi Electric MELSEC iQ-R Series Safety CPU

JPCERT/CCからの補足情報

JPCERT/CCによる脆弱性分析結果

CVSS v3 CVSS:3.0/AV:N/AC:L/PR:L/UI:N/S:U/C:H/I:N/A:N
基本値: 6.5
攻撃元区分(AV) 物理 (P) ローカル (L) 隣接 (A) ネットワーク (N)
攻撃条件の複雑さ(AC) 高 (H) 低 (L)
必要な特権レベル(PR) 高 (H) 低 (L) 不要 (N)
ユーザ関与レベル(UI) 要 (R) 不要 (N)
スコープ(S) 変更なし (U) 変更あり (C)
機密性への影響(C) なし (N) 低 (L) 高 (H)
完全性への影響(I) なし (N) 低 (L) 高 (H)
可用性への影響(A) なし (N) 低 (L) 高 (H)

謝辞

この脆弱性情報は、製品利用者への周知を目的に、開発者が JPCERT/CC に報告し、JPCERT/CC が開発者との調整を行いました。

関連文書

JPCERT 緊急報告
JPCERT REPORT
CERT Advisory
CPNI Advisory
TRnotes
CVE
JVN iPedia

更新履歴

2024/02/14
[参考情報]にICS Advisoryのリンクを追加しました