公開日:2016/03/08 最終更新日:2016/04/18

JVNVU#96567499
ISC DHCP にサービス運用妨害 (DoS) の脆弱性

概要

ISC DHCP には、サービス運用妨害 (DoS) の脆弱性が存在します。

影響を受けるシステム

  • DHCP 4.1.0 から 4.1-ESV-R12-P1 まで
  • DHCP 4.2.0 から 4.2.8 まで
  • DHCP 4.3.0 から 4.3.3-P1 まで
これらより古いバージョンも本脆弱性の影響を受ける可能性がありますが、サポートが終了しているため、DHCP 4.1.0 より前のバージョンについては開発者による確認は行われていません。

詳細情報

ISC DHCP サーバは、プロセス間通信や制御を行うために使用する TCP ポートへの同時接続数を適切に制限しません。そのため、攻撃者は大量の TCP 接続を確立することで、DHCP サーバの処理を妨げることが可能です。

想定される影響

想定される影響はサーバのバージョンや攻撃されるチャネル、OS の設定などによって異なります。例えば、次のような影響を受ける可能性があります。

  • INSIST failure が発生してサーバが停止する
  • サーバが応答不能状態となり、クライアントのリクエストに返答しなくなる
  • サーバは動作を継続するが、OMAPI クライアントやフェイルオーバー用ピアからの接続を受け付けなくなる
  • 運用環境で制限がかけられていない場合、大量のソケットをオープンすることで、同一マシン上で動作する他のサービスに影響を及ぼす
なお、想定される影響はこれらに限りません。

本脆弱性の影響を受けるリスクが最も高いのが OMAPI ポートです (OMAPI を有効にしている場合)。フェイルオーバー用ポートについては、ピア以外からの接続要求は遮断されます。(そのため、フェイルオーバー用ポートへの攻撃は難しくなりますが、不可能ではありません。) しかし、OMAPI は接続元を制限する機能を持っていません。

対策方法

2016年3月に、本脆弱性への攻撃を難しくする対策コードが追加された DHCP 4.1-ESV-R13 および DHCP 4.3.4 がリリースされる予定です。
開発者は、以下の対策の実施を推奨しています。

通信を制限する
信頼できるホスト以外からの通信を遮断してください。

機能を無効化する
OMAPI やフェイルオーバー機能を使用していない場合、これらの機能を無効化することが可能です。詳しくは次の情報を参照してください。

ファイルディスクリプタ数を制限することによってプロセスの同時接続数を制限する
dhcpd を起動するシェルで ulimit を設定することで、プロセスの同時接続数を制限することが可能です。これにより INSIST failure によるサーバの停止を防ぐことが可能です。ただし、これだけではプロセス間通信ポートへの干渉は防げないことに注意してください。

ベンダ情報

ベンダ ステータス ステータス
最終更新日
ベンダの告知ページ
ジェイティ エンジニアリング株式会社 該当製品無し 2016/04/16

参考情報

JPCERT/CCからの補足情報

JPCERT/CCによる脆弱性分析結果

CVSS v3 CVSS:3.0/AV:N/AC:H/PR:N/UI:N/S:U/C:N/I:N/A:H
基本値: 5.9
攻撃元区分(AV) 物理 (P) ローカル (L) 隣接 (A) ネットワーク (N)
攻撃条件の複雑さ(AC) 高 (H) 低 (L)
必要な特権レベル(PR) 高 (H) 低 (L) 不要 (N)
ユーザ関与レベル(UI) 要 (R) 不要 (N)
スコープ(S) 変更なし (U) 変更あり (C)
機密性への影響(C) なし (N) 低 (L) 高 (H)
完全性への影響(I) なし (N) 低 (L) 高 (H)
可用性への影響(A) なし (N) 低 (L) 高 (H)
CVSS v2 AV:N/AC:M/Au:N/C:N/I:N/A:C
基本値: 7.1
攻撃元区分(AV) ローカル (L) 隣接 (A) ネットワーク (N)
攻撃条件の複雑さ(AC) 高 (H) 中 (M) 低 (L)
攻撃前の認証要否(Au) 複数 (M) 単一 (S) 不要 (N)
機密性への影響(C) なし (N) 部分的 (P) 全面的 (C)
完全性への影響(I) なし (N) 部分的 (P) 全面的 (C)
可用性への影響(A) なし (N) 部分的 (P) 全面的 (C)

謝辞

関連文書

JPCERT 緊急報告
JPCERT REPORT
CERT Advisory
CPNI Advisory
TRnotes
CVE CVE-2016-2774
JVN iPedia