公開日:2016/12/01 最終更新日:2016/12/01

JVN#08868688
日本年金機構製の複数のインストーラにおける DLL 読み込みに関する脆弱性

概要

日本年金機構製の複数のインストーラには、DLL 読み込みに関する脆弱性が存在します。

影響を受けるシステム

2016年10月17日以前に公開されていた次のインストーラが、本脆弱性の影響を受ける可能性があります。

  • 仕様チェックプログラム(社会保険) Ver. 9.00 およびそれ以前
  • 届書印刷プログラム Ver. 5.00 およびそれ以前
  • 媒体データパスワード設定プログラム Ver. 1.00 およびそれ以前
  • 届書作成プログラム Ver. 15.00 およびそれ以前

詳細情報

日本年金機構が提供する複数の製品のインストーラには、DLL を読み込む際の検索パスに関する処理に不備があり、意図しない DLL を読み込んでしまう脆弱性が存在します。

想定される影響

次の条件を満たす場合に脆弱性が悪用されます。脆弱性が悪用された場合、インストーラを実行しているプロセスの権限で任意のコードを実行される可能性があります。

  • 攻撃者の意図する場所に、細工された DLL ファイルが何らかの方法で配置されている

対策方法

新規インストールやバージョンアップには最新のインストーラを使用する
新規インストールやバージョンアップの際には、開発者が提供する情報をもとに、最新のインストーラを使用してください。

参考情報

JPCERT/CCからの補足情報

JPCERT/CCによる脆弱性分析結果

CVSS v3 CVSS:3.0/AV:L/AC:L/PR:N/UI:R/S:U/C:H/I:H/A:H
基本値: 7.8
攻撃元区分(AV) 物理 (P) ローカル (L) 隣接 (A) ネットワーク (N)
攻撃条件の複雑さ(AC) 高 (H) 低 (L)
必要な特権レベル(PR) 高 (H) 低 (L) 不要 (N)
ユーザ関与レベル(UI) 要 (R) 不要 (N)
スコープ(S) 変更なし (U) 変更あり (C)
機密性への影響(C) なし (N) 低 (L) 高 (H)
完全性への影響(I) なし (N) 低 (L) 高 (H)
可用性への影響(A) なし (N) 低 (L) 高 (H)
CVSS v2 AV:N/AC:M/Au:N/C:P/I:P/A:P
基本値: 6.8
攻撃元区分(AV) ローカル (L) 隣接 (A) ネットワーク (N)
攻撃条件の複雑さ(AC) 高 (H) 中 (M) 低 (L)
攻撃前の認証要否(Au) 複数 (M) 単一 (S) 不要 (N)
機密性への影響(C) なし (N) 部分的 (P) 全面的 (C)
完全性への影響(I) なし (N) 部分的 (P) 全面的 (C)
可用性への影響(A) なし (N) 部分的 (P) 全面的 (C)

分析結果のコメント

ユーザのシステムを攻撃する目的で作成された DLL ファイルを、攻撃者の意図する場所にユーザが自ら配置することを想定しています。

謝辞

この脆弱性情報は、情報セキュリティ早期警戒パートナーシップに基づき下記の方が IPA に報告し、JPCERT/CC が開発者との調整を行いました。
報告者: NTTコミュニケーションズ 東内 裕二 氏

関連文書

JPCERT 緊急報告
JPCERT REPORT
CERT Advisory
CPNI Advisory
TRnotes
CVE CVE-2016-7818
JVN iPedia JVNDB-2016-000233